この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 ヴァーレリーちゃんにお礼を言うと、「職務ですから」とクールな返答が来た。

 だいぶ彼女とは打ち解けていると思っていたんだけど……、打ち解けてるよね?

 ローデリヒさんの主導で、数人の侍女さんと共に王城の廊下に出た。
 そこで一旦ヴァーレリーちゃんとは別れる。

 ヴァーレリーちゃんは招待客としてパーティー会場に入るらしい。騎士と違って、敵にマークされにくいようにだって。なんか陰の護衛って感じでかっこいい。

 ヴァーレリーちゃんのパートナーの赤髪の男の人が、わざわざ彼女を迎えに来ていた。たぶんローデリヒさんと同じくらいの歳。

 あれ?そういえばヴァーレリーちゃんが女の子なら、同世代の男の人ローデリヒさん以外で久しぶりに見ることになるんじゃ……?

 白い塀で囲まれたお屋敷には、侍女さん達とアーベルくん、イーナさんしか見ていない。
 男の人といえば、年の離れた医者のジギスムントさんと国王様だけ。その二人も滅多に会わない。

 こんなに同世代の男の人と会わない事ってあるのかな?と、内心首を捻ってもいられなくなった。
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