この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
迷路のような王城の廊下を幾分か進んで行くと、小部屋のような場所につく。私室とはまた違った感じで、ソファーやテーブル、椅子に鏡しかない部屋。入ってきた扉とはもう一つ別の扉がある。
決して貧相な訳ではなく、家具自体も敷かれている絨毯も見るからに高いものである。
ただ、私は直感的に悟った。
ここ、控え室だ――と。
伝わってくる。別の扉から。
オーケストラの演奏。人々のさざめき。
この部屋の向こうに、大勢の人々の存在が伝わってくる。
能力なんて使っていない。結界が張れるペンダントで、私の能力は封じられている。だから、これは直接耳から、肌から感じられる他人の存在。
ただの人だ。それでも大勢の人。
アリサ・セシリア・キルシュライトは初対面じゃないかもしれないけれど、私にとっては初めましてばかりの人達。
室内に入って数歩でそれを感じて、私は思わず立ち竦んだ。
決して貧相な訳ではなく、家具自体も敷かれている絨毯も見るからに高いものである。
ただ、私は直感的に悟った。
ここ、控え室だ――と。
伝わってくる。別の扉から。
オーケストラの演奏。人々のさざめき。
この部屋の向こうに、大勢の人々の存在が伝わってくる。
能力なんて使っていない。結界が張れるペンダントで、私の能力は封じられている。だから、これは直接耳から、肌から感じられる他人の存在。
ただの人だ。それでも大勢の人。
アリサ・セシリア・キルシュライトは初対面じゃないかもしれないけれど、私にとっては初めましてばかりの人達。
室内に入って数歩でそれを感じて、私は思わず立ち竦んだ。