この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「やあ、アリサ。久しぶりだね」
ゆったりとした笑みを浮かべたルーカス殿下が、私に話し掛けてくる。感じるのは、ただただ私を案じる気持ちだけ。そこに悪意は含まれていない。
完全な善意だった。
アルヴォネンの王太子夫妻は、じっと私の動きを見つめている。
何か返事をしようと口を開いた。
――ごめんなさい。アリサ。
唐突だった。
私の声が音になるよりも先に、少女が私に向かって謝る。訳が分からずに、思わず口を噤んでしまった途端。
全ての照明が落ちた。
ゆったりとした笑みを浮かべたルーカス殿下が、私に話し掛けてくる。感じるのは、ただただ私を案じる気持ちだけ。そこに悪意は含まれていない。
完全な善意だった。
アルヴォネンの王太子夫妻は、じっと私の動きを見つめている。
何か返事をしようと口を開いた。
――ごめんなさい。アリサ。
唐突だった。
私の声が音になるよりも先に、少女が私に向かって謝る。訳が分からずに、思わず口を噤んでしまった途端。
全ての照明が落ちた。