この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
同時に硝子の割れる甲高い音がホールのあちこちで響く。ローデリヒさんがおもむろに上に伸ばした手の先には結界が展開されていて、突然現れた黒装束の人間の刃を受け止めている。
黒装束の人間は、明らかにパーティーの招待者ではない。
いつの間に入り込んだのか?という疑問が湧く前に、パーティー会場に騎士の鎧を着た人達がなだれ込んでくる。
黒装束は、ローデリヒさんが渡り合っている一人だけではなかった。
「……くっ。薙ぎ払ってもどんどん湧いてくる。気持ち悪い……ねっ!」
刃物を持っている黒装束達にどんどん襲いかかられているアルヴォネンの王太子。彼は刃物に臆することなく、素手で殴っている。一発で急所を捉えて、相手を沈めていく姿は格闘技の達人みたいだった。
アルヴォネンの王太子妃の少女は、王太子の後ろに隠れていて、ルーカス殿下も妻を庇うように立ち回っている。
私はローデリヒさんの腕の中に囲われたまま、その光景を呆然と眺めていた。
パーティーホールのあちこちで乱闘騒ぎが起こっている。刃物と刃物が擦れ合う音が聞こえる。
すぐ後ろで男の人の声が聞こえる。
一人、また一人、と女の人の悲鳴が上がる。
黒装束の人間は、明らかにパーティーの招待者ではない。
いつの間に入り込んだのか?という疑問が湧く前に、パーティー会場に騎士の鎧を着た人達がなだれ込んでくる。
黒装束は、ローデリヒさんが渡り合っている一人だけではなかった。
「……くっ。薙ぎ払ってもどんどん湧いてくる。気持ち悪い……ねっ!」
刃物を持っている黒装束達にどんどん襲いかかられているアルヴォネンの王太子。彼は刃物に臆することなく、素手で殴っている。一発で急所を捉えて、相手を沈めていく姿は格闘技の達人みたいだった。
アルヴォネンの王太子妃の少女は、王太子の後ろに隠れていて、ルーカス殿下も妻を庇うように立ち回っている。
私はローデリヒさんの腕の中に囲われたまま、その光景を呆然と眺めていた。
パーティーホールのあちこちで乱闘騒ぎが起こっている。刃物と刃物が擦れ合う音が聞こえる。
すぐ後ろで男の人の声が聞こえる。
一人、また一人、と女の人の悲鳴が上がる。