この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
そうだった。ティーナは幼馴染みで、私の事をとっても大事にしてくれる子なのになんで忘れて。あれ、なんで私はアルヴォネンの王太子妃と親しみを感じているんだっけ?会ったことない。ない、はずなのに。
ティーナとルーカスが私に害なんか成すはずがないのに、なんでローデリヒ様はあんなに彼らを敵視するんだろう。あれ、なんで私、ローデリヒさんのこと様付けで呼んでるの?分からない。なんで、なんで。
引き出しのずっとずっと奥にしまい込んでいた記憶が、ボロボロと溢れてくるようだった。それはバラバラになったパズルのピースのように脳内に散らばっていく。
ローデリヒさんも危機迫った顔で詰め寄ってくる。
「アリサ……!!アリサ!しっかりしろ!!」
痛い。痛いのだ。頭が。
頭の痛みと連動するように吐き気がする。
「いたい……」
「痛い?!お腹か?!何かされたのか?!」
グラグラと頭も視界も歪む。ローデリヒさんが膝をついて私の顔を包み込んだ。彼の手袋の滑らかな生地が頬に触れる。
目の前がぼんやりと霞んできて、私は手袋越しの温もりを感じながら瞼を閉ざした。
ティーナとルーカスが私に害なんか成すはずがないのに、なんでローデリヒ様はあんなに彼らを敵視するんだろう。あれ、なんで私、ローデリヒさんのこと様付けで呼んでるの?分からない。なんで、なんで。
引き出しのずっとずっと奥にしまい込んでいた記憶が、ボロボロと溢れてくるようだった。それはバラバラになったパズルのピースのように脳内に散らばっていく。
ローデリヒさんも危機迫った顔で詰め寄ってくる。
「アリサ……!!アリサ!しっかりしろ!!」
痛い。痛いのだ。頭が。
頭の痛みと連動するように吐き気がする。
「いたい……」
「痛い?!お腹か?!何かされたのか?!」
グラグラと頭も視界も歪む。ローデリヒさんが膝をついて私の顔を包み込んだ。彼の手袋の滑らかな生地が頬に触れる。
目の前がぼんやりと霞んできて、私は手袋越しの温もりを感じながら瞼を閉ざした。