この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
(前編)子供時代に――(過去)

お別れを?

 忘れてはいけなかった。

 忘れてしまえば気が楽になるのに、出来なかった。

 覚えている。
 全て、覚えている。

 彼らの名前を。

 13人。私が殺したも同然だった。
 64人。私のせいで輝かしい将来がなくなってしまった。

 私の罪で殺されてしまった彼らの名前を。
 私の罪で人生を狂わされた彼らの名前を。

 全部、全部、私の能力が原因だった。



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 ルーカスの父親は、私にとって親戚のおじさんだった。悪い人ではない。むしろ温厚な性格の人だった。
 国王としても、アルヴォネン王国を平和な国に導こうとしている人だった。
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