この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
ドサリ、と重々しい音を立てて、テーブルに分厚い書類が置かれる。ルーカスが乱雑に置いたお陰で、私の飲んでいた紅茶の茶器が少しだけ跳ねる音がした。
「読んでみて」
ルーカスのいつも浮かべている柔和な笑みは、どこにもなかった。明らかにやつれていて、衣服も王太子らしくなく着崩している。そんな幼馴染みの姿に私は一抹の不安を感じながら、恐る恐る書類を手に取った。重い。
「極刑一覧、家系廃絶一覧……なに、これ」
物々しい主題に指先が冷えたのは錯覚じゃなかった。
嫌な予感しかしなかった。何故私に関係あるのか?、そんな疑問すら湧くことなく、私はひたすら次のページへと紙をめくる。
「…………私の、せい?」
ずっと紙をめくっていた音だけがしていた室内に、私の掠れた声が落ちた。喉が引き攣る。自分でも上擦っていたのが分かった。名前も肖像画もその紙には載っていた。
みんな見たことある顔だった。そして、見なくなった顔だった。
「読んでみて」
ルーカスのいつも浮かべている柔和な笑みは、どこにもなかった。明らかにやつれていて、衣服も王太子らしくなく着崩している。そんな幼馴染みの姿に私は一抹の不安を感じながら、恐る恐る書類を手に取った。重い。
「極刑一覧、家系廃絶一覧……なに、これ」
物々しい主題に指先が冷えたのは錯覚じゃなかった。
嫌な予感しかしなかった。何故私に関係あるのか?、そんな疑問すら湧くことなく、私はひたすら次のページへと紙をめくる。
「…………私の、せい?」
ずっと紙をめくっていた音だけがしていた室内に、私の掠れた声が落ちた。喉が引き攣る。自分でも上擦っていたのが分かった。名前も肖像画もその紙には載っていた。
みんな見たことある顔だった。そして、見なくなった顔だった。