この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
だが遠縁とはいえ、そのおじ様が国王陛下。それを言って良いのかという判断を迷うくらいには、冷静さが戻ってきていた。
「ああ……、怖かったな」
落ち着かせるようにゆっくり頭を撫でられる。
「取り敢えず、侍女を助けて、襲っている奴らを生け捕りにする必要があるな……。理由は物取りか人質辺りだろうが……」
顎に手を当てて考え込む少年と、悩む私の元に複数の気配が伝わってくる。私の元には護衛騎士や、たぶんこの少年の部下の感情で分かったが、少年は気配で気付いたらしい。二人してパッと顔を上げて、固まった。
「その娘を渡してもらおうか」
おじ様が平坦な声で少年に告げる。少年が私を庇うように立ちはだかって、個下の目の前で起こっていることが信じられないような声を出した。
「アルヴォネンの……国王……?!」
「いかにも。君はキルシュライトの王太子だね?アルヴォネン領で何をしているんだい?」
「……っ、悲鳴が聞こえたので参った次第だ。そちらこそこの娘とどういった関係だ?」
「君には関係ないだろう?」
「ああ……、怖かったな」
落ち着かせるようにゆっくり頭を撫でられる。
「取り敢えず、侍女を助けて、襲っている奴らを生け捕りにする必要があるな……。理由は物取りか人質辺りだろうが……」
顎に手を当てて考え込む少年と、悩む私の元に複数の気配が伝わってくる。私の元には護衛騎士や、たぶんこの少年の部下の感情で分かったが、少年は気配で気付いたらしい。二人してパッと顔を上げて、固まった。
「その娘を渡してもらおうか」
おじ様が平坦な声で少年に告げる。少年が私を庇うように立ちはだかって、個下の目の前で起こっていることが信じられないような声を出した。
「アルヴォネンの……国王……?!」
「いかにも。君はキルシュライトの王太子だね?アルヴォネン領で何をしているんだい?」
「……っ、悲鳴が聞こえたので参った次第だ。そちらこそこの娘とどういった関係だ?」
「君には関係ないだろう?」