この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
流石に結婚初夜は避けられないと理解していたので、つい数刻前に夫になった人と一緒のベッドに入る。そしてタイミングは今しかない、と切り出した。
「私、貴族令嬢としての義務は果たせないと思います。……王太子妃としての義務も」
案の定、海色の瞳を少しだけ見開いた夫だったが、眉間に皺を寄せて「何故だ?」と問うてくる。
「その……、男の人が怖いのです。だから、貴方を楽しませるような技術も持っていませんし、王太子妃としての公務は致しますので、後継の件は側室を後宮に入れていただきたいのです」
相当な事を言っているのは分かっている。だけれど、私にとっては死活問題だった。
しばしの間だけ、彼は何やら考え込む素振りを見せていたが、分かったと頷く。
「……だが、結婚初夜だけは何とかならないだろうか?流石に侍女に結婚翌日から不仲と思われるのは避けたい」
「大丈夫です。流石に私も今夜は覚悟しています」
「そうか」
「私、貴族令嬢としての義務は果たせないと思います。……王太子妃としての義務も」
案の定、海色の瞳を少しだけ見開いた夫だったが、眉間に皺を寄せて「何故だ?」と問うてくる。
「その……、男の人が怖いのです。だから、貴方を楽しませるような技術も持っていませんし、王太子妃としての公務は致しますので、後継の件は側室を後宮に入れていただきたいのです」
相当な事を言っているのは分かっている。だけれど、私にとっては死活問題だった。
しばしの間だけ、彼は何やら考え込む素振りを見せていたが、分かったと頷く。
「……だが、結婚初夜だけは何とかならないだろうか?流石に侍女に結婚翌日から不仲と思われるのは避けたい」
「大丈夫です。流石に私も今夜は覚悟しています」
「そうか」