この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
ギュッと私も手を握り返して、ニヤリとちょっと意地悪く笑う。
「でも、子供が出来るような心当たりは一度しかない、なーんて事、言ってましたよね?」
「う……、それは……」
呻く彼に、私はカラリと笑ってみせた。記憶が飛んでいなければ、ショックだったかもしれないけれど、その時の私は完全に自分の事を他人の事のように感じていたから。
でも、今までで一番スムーズに夫と話せた期間だったようにも思う。
「いいですよ。ちゃんと謝ってくれましたし、私もこんなに二回ともすぐに出来るとは思わなかったのは確かなので。本当、百発百中ですよね……」
「その呼び方はやめてくれ……」
げんなりした表情をした夫だったけれど、ふと不思議そうに触れている手を見つめて瞬きをする。急に顔色を変えた彼は、恐る恐る私に手を伸ばしてきた。
「触るぞ……?」
「えっ?ちょ、……えっ?い、いいですけど……」
一体いきなり何を言い出すのか。
片手で手を繋いだまま、手を伸ばした彼は――、
私のおでこに触れた。
「あ……」
「あ……?なんですか?」
「でも、子供が出来るような心当たりは一度しかない、なーんて事、言ってましたよね?」
「う……、それは……」
呻く彼に、私はカラリと笑ってみせた。記憶が飛んでいなければ、ショックだったかもしれないけれど、その時の私は完全に自分の事を他人の事のように感じていたから。
でも、今までで一番スムーズに夫と話せた期間だったようにも思う。
「いいですよ。ちゃんと謝ってくれましたし、私もこんなに二回ともすぐに出来るとは思わなかったのは確かなので。本当、百発百中ですよね……」
「その呼び方はやめてくれ……」
げんなりした表情をした夫だったけれど、ふと不思議そうに触れている手を見つめて瞬きをする。急に顔色を変えた彼は、恐る恐る私に手を伸ばしてきた。
「触るぞ……?」
「えっ?ちょ、……えっ?い、いいですけど……」
一体いきなり何を言い出すのか。
片手で手を繋いだまま、手を伸ばした彼は――、
私のおでこに触れた。
「あ……」
「あ……?なんですか?」