この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「どうしたんだ?」


 訝しげに眉を寄せるローデリヒ様にどう説明するか悩み抜いた末、無難な言葉を選んだ。


「じゃあ、『私は大丈夫だから心配しないで』と伝えておいてください」

「ああ。分かった。随分と顔色も良くなってきている事だし、すぐに回復すると思うが……、油断はするなよ」

「分かりました」


 しっかり頷く。私達の様子を見ていた国王様がボソッとジギスムントに愚痴った。


「なあなあ、やはりワシら、お邪魔じゃったか……?」

「やっと気付いたのかあんた……」


 呆れた顔で国王様を見たジギスムントだったけれど、この二人、随分と気安い関係らしい。そそくさと二人揃って退出していくのを、ローデリヒ様は特に引き留めもしなかった。


「……二人共随分と気安いんですね」

「まあ……な。一応関係的には義理の親子だからな」

「ああ。なるほど。だからなんですね」


 ………………ん?
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