この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】

隣国の王太子夫妻との再会?

 待ちに待った翌日。
 体調はすっかりと元通りになった。時々悪阻がまだ襲ってくるけど。

 でもせっかくルーカスとティーナと会える日なのだ。一応ローデリヒ様が安定期まで妊娠の公表は控えたそうだったので、ルーカス達には言わないことにした。

 流石に私の一存で決められる話じゃないからね。

 私は普段着とは違い、シンプルなデザインのパステルカラーのドレスを身に纏う。アクセサリーもそれ程華美なものではないけれど、たぶん使われてるダイヤモンドとかは大粒なのでかなり値段はしそうだけれど。

 一応元公爵家の令嬢なので、これくらいのアクセサリーは昔から身につけていた。
 だからどうって事はないのだけれど、……前世の一般庶民としての記憶が邪魔をしてくる。

 アクセサリーが高価すぎて、付けるのが怖いと。

 生まれや周囲の環境による常識の刷り込みって、怖いな……。ダイヤモンドが沢山連なっているイヤリングとか落としたらどうしよう、なんて思ったことすらなかった。

 遠い目になりながら支度を終えると、既にイーナさん達におめかししてもらったアーベルが、私の姿を見つけるなり元気よく声を上げた。


「あーたま!」
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