この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
部屋の中から聞こえたのはルーカスの声。ゼルマさんが扉を開けてくれて、ローデリヒ様の後ろに付いて入室する。ルーカスとティーナは立って出迎えてくれた。
記憶喪失の時は気付かなかったけれど、二年以上会っていないと二人共少しずつ変わっている。
襟足をひとつに結んだ黒髪に、アメジストのような色の瞳。ルーカスは記憶よりも髪の毛と背が伸びている。
ティーナも美しい銀髪は伸び、ほんの少しだけ少女らしさが抜けているような気がした。
「ローデリヒ殿。私的な時間を作ってくれてありがとう。感謝するよ」
「いや、礼には及ばない。我が妃もあなた方との再会を望んでいた」
「……そうなんだ」
透き通るような紫眼が何やら不穏な色を宿す。僅かに空いた間が、ルーカスが完全に誤解していることを表していた。
「久しぶりね。ルーカス、ティーナ」
「本当に久しぶりだね、アリサ。元気にしていたかい?」
ルーカスの言葉に胸を張った。何としてでも誤解を解かなければ。
記憶喪失の時は気付かなかったけれど、二年以上会っていないと二人共少しずつ変わっている。
襟足をひとつに結んだ黒髪に、アメジストのような色の瞳。ルーカスは記憶よりも髪の毛と背が伸びている。
ティーナも美しい銀髪は伸び、ほんの少しだけ少女らしさが抜けているような気がした。
「ローデリヒ殿。私的な時間を作ってくれてありがとう。感謝するよ」
「いや、礼には及ばない。我が妃もあなた方との再会を望んでいた」
「……そうなんだ」
透き通るような紫眼が何やら不穏な色を宿す。僅かに空いた間が、ルーカスが完全に誤解していることを表していた。
「久しぶりね。ルーカス、ティーナ」
「本当に久しぶりだね、アリサ。元気にしていたかい?」
ルーカスの言葉に胸を張った。何としてでも誤解を解かなければ。