この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「アリサは元気で動き回っている方が、わたくしは素敵だと思うわ。ずっと昔のアリサに戻って欲しかったのだけれど、それを成したのがわたくしでない事がちょっとだけ悔しいわ」
一拍おいて、ティーナは続けた。憑き物が落ちたようなスッキリとした表情で。
「でも、わたくし達には出来ない役割だったのね。きっと」
私は慌てて首を横に振った。アルヴォネンにいた時、ティーナ達にはとても救われたんだ。
「ううん。ティーナも私の事を思ってくれてて、私はずっと助けられてた」
「でも、わたくし達では明るい未来を示すことが出来なかったわ」
私は言葉に詰まった。確かにあのままでは一生修道院にいただろう。自責の念だけで生きていた可能性だってある。
何も言えなくなる私に、ティーナはふふっと無垢な少女のように微笑んだ。
「だからね。わたくしは嬉しいの。アリサが幸せになってくれる事が」
「ティーナ……」
ティーナがテーブル越しに華奢な白い手を伸ばしてくる。私も手を伸ばして握り締めた。
一拍おいて、ティーナは続けた。憑き物が落ちたようなスッキリとした表情で。
「でも、わたくし達には出来ない役割だったのね。きっと」
私は慌てて首を横に振った。アルヴォネンにいた時、ティーナ達にはとても救われたんだ。
「ううん。ティーナも私の事を思ってくれてて、私はずっと助けられてた」
「でも、わたくし達では明るい未来を示すことが出来なかったわ」
私は言葉に詰まった。確かにあのままでは一生修道院にいただろう。自責の念だけで生きていた可能性だってある。
何も言えなくなる私に、ティーナはふふっと無垢な少女のように微笑んだ。
「だからね。わたくしは嬉しいの。アリサが幸せになってくれる事が」
「ティーナ……」
ティーナがテーブル越しに華奢な白い手を伸ばしてくる。私も手を伸ばして握り締めた。