この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 残りの滞在中は、ローデリヒ様がルーカスと何やらよく話していた。きっと襲撃についての後片付けとかの打ち合わせかな。
 ルーカスと話す度に、ローデリヒ様が「やはり、それなりに有能そうなんだが」と複雑そうな顔をしていたんだよね。

 うーん、考え過ぎだと思うんだけどなあ。

 それにしても、いいな……私もまだ海の方の観光地行ったことない。いつか行ってみたい。

 ローデリヒ様は今日は執務が早く終わったのか、アーベルの遊びに付き合ってくれていた。たまに忙しい時は深夜にベッドに潜り込んできたりする。王太子様ってやっぱり大変なんだろうなあ……。

 積み木で遊ぶアーベルに付き合っていたローデリヒ様は、ソファーでゆっくりくつろいで二人を眺めていた私に声をかける。


「どうした?身体はまだ辛いか?」

「うーん、ちょっとだけ、って感じです」


 悪阻はもうだいぶ治まってきた。アーベルの時にも体感していたけど、もうそろそろ悪阻は終わって元気が出てくるはず。悪阻で食べられなかった分、沢山食べたい。……栄養に気をつけて。
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