この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「その……、手を繋いでもいいだろうか?」
「えっ?!、え、あ、はい!」
いきなりだったから激しく動揺しつつ、手を差し出す。ちょっと温度の高い大きな手のひらが、私の手を握りこんだ。
ギュッ、ギュッと形を確かめるように数度軽く握った後に、彼の長い骨張った指が私の指に絡んでくる。指を撫でるような動きに、くすぐったいような変な気持ちになった。
「貴女は私の妻だ」
「え?……ええ、はい」
キョトンとして頷くと、ローデリヒ様はほんのちょっとだけ拗ねたような声で言った。
「本来なら、もっと貴女に自由に触れて良いはずなんだ」
「はい…………はい?!」
思わず目を剥く。言われた意味を理解して、じわじわと顔に熱が集まってくるのを感じる。よく見ると、ローデリヒ様も耳が少し赤い。
「だから出来るだけ早く、私に慣れてくれると嬉しい」
はにかんだ夫を恥ずかしくて直視することが出来ず、完全に恋人繋ぎになっている手を見下ろしながら、私は消え入りそうな声で返事をしたのだった。
ーー仮面夫婦の妊婦妻になりまして、最初は不安でいっぱいでしたが、旦那様は優しくて頼りになるし、息子は可愛いしで幸せに過ごしてます!
「えっ?!、え、あ、はい!」
いきなりだったから激しく動揺しつつ、手を差し出す。ちょっと温度の高い大きな手のひらが、私の手を握りこんだ。
ギュッ、ギュッと形を確かめるように数度軽く握った後に、彼の長い骨張った指が私の指に絡んでくる。指を撫でるような動きに、くすぐったいような変な気持ちになった。
「貴女は私の妻だ」
「え?……ええ、はい」
キョトンとして頷くと、ローデリヒ様はほんのちょっとだけ拗ねたような声で言った。
「本来なら、もっと貴女に自由に触れて良いはずなんだ」
「はい…………はい?!」
思わず目を剥く。言われた意味を理解して、じわじわと顔に熱が集まってくるのを感じる。よく見ると、ローデリヒ様も耳が少し赤い。
「だから出来るだけ早く、私に慣れてくれると嬉しい」
はにかんだ夫を恥ずかしくて直視することが出来ず、完全に恋人繋ぎになっている手を見下ろしながら、私は消え入りそうな声で返事をしたのだった。
ーー仮面夫婦の妊婦妻になりまして、最初は不安でいっぱいでしたが、旦那様は優しくて頼りになるし、息子は可愛いしで幸せに過ごしてます!