この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「あれだけ聞きたくなさそうにしてたのに、のう?」
ジギスムントも苦笑しつつ同意した。
「それは気恥しいからだろう。自分の両親の色恋沙汰を聞くのは」
「そうか……?あー、いや、ワシも自分の両親のそういった話は聞いたことはないのう。そんなものか」
なんとなく納得した国王は、ふうと一つ息を吐いて頭をかいた。
「それにしても……、あやつ、ますます若い頃のワシに似てきたのう」
なあ?べティーナ、と唇の動きのみで呟いた言葉に応えるように、一陣の冷たい風が吹いていった。
押し付けられたピンク色の薔薇を眺めながら、後宮から執務室への最短距離を歩く。カツカツと来た時と同じように靴音だけが響いた。
違うのは、香水の残り香に交じって、持っている薔薇の香りがほのかにする位か。
無言のままイーヴォに押し付ける。イーヴォが「俺……、殿下から花を貰っても、殿下の気持ちに応えることは出来ません」と神妙な面持ちで何やら言っていたが、ローデリヒは「阿呆か」と一蹴した。
ジギスムントも苦笑しつつ同意した。
「それは気恥しいからだろう。自分の両親の色恋沙汰を聞くのは」
「そうか……?あー、いや、ワシも自分の両親のそういった話は聞いたことはないのう。そんなものか」
なんとなく納得した国王は、ふうと一つ息を吐いて頭をかいた。
「それにしても……、あやつ、ますます若い頃のワシに似てきたのう」
なあ?べティーナ、と唇の動きのみで呟いた言葉に応えるように、一陣の冷たい風が吹いていった。
押し付けられたピンク色の薔薇を眺めながら、後宮から執務室への最短距離を歩く。カツカツと来た時と同じように靴音だけが響いた。
違うのは、香水の残り香に交じって、持っている薔薇の香りがほのかにする位か。
無言のままイーヴォに押し付ける。イーヴォが「俺……、殿下から花を貰っても、殿下の気持ちに応えることは出来ません」と神妙な面持ちで何やら言っていたが、ローデリヒは「阿呆か」と一蹴した。