この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「王城の第二庭園に確かオレンジ色の薔薇が咲いていたな?」

「そういえば……、咲いていた気もします」

「庭師に頼んで花束にでもしてもらうか……」


 考え込むように腕を組んでいたローデリヒだったが、薔薇だけの花束も味気なさそうだし、かと言って花の色の組み合わせ等分からないので、プロに任せることにした。

 花束をプレゼントするという国王のアイディア自体は、彼にとっても良い事だと思えたからである。


「え?!じゃあ、国王陛下からいただいたこの薔薇はどうするんですか?!」


 手元のピンク色の薔薇とローデリヒを、イーヴォは困惑したように見比べた。ローデリヒはまるであらかじめ決めていたかのように、あっさり言う。


「執務室にでも生けておけ」

「ええー?せっかく国王陛下からいただいたのに……、いいんですか?」

「問題ない」
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