この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
謎の美少年――、と称しても、正体はおおよその見当はついているのだけれど……。異性に触っているのに拒否反応出ないし。
それよりも、こんな時に王太子の私室を荒らし始める国王様の方にちょいちょい目がいってしまう。
一体何しに来たのあの人……。
美少年も国王様の事が気になるようで、ちらちらと気にしながら居住まいを正した。
「は、はいっ。はじめまして……、とは違いますね。キルシュライト王国王太子ローデリヒ・アロイス・キルシュライトの第一子、アーベル・ホルスト・キルシュライトです。称号は王子を戴いております。……今年で16歳になりました」
背筋を伸ばして私とローデリヒ様を見比べる彼は、どこからどう見てもローデリヒ様にそっくり。ローデリヒ様のミニチュアみたいだと思ったことは何度もあったけど、成長しても似ているのはびっくりしたな……。
……なんて、そんな事を考えてしまうくらいには、この非現実的な状況に混乱している。
ローデリヒ様も似たようなもので、アーベル(16歳)の自己紹介に「そうか……」と言ったっきり悩むように口元に手を当てて黙り込んだ。
「父様、母様、申し訳ありません。いきなり僕が16歳になったなんて、信じられませんよね……」
しゅん、と落ち込む彼に、私は思わず手を振って否定した。
それよりも、こんな時に王太子の私室を荒らし始める国王様の方にちょいちょい目がいってしまう。
一体何しに来たのあの人……。
美少年も国王様の事が気になるようで、ちらちらと気にしながら居住まいを正した。
「は、はいっ。はじめまして……、とは違いますね。キルシュライト王国王太子ローデリヒ・アロイス・キルシュライトの第一子、アーベル・ホルスト・キルシュライトです。称号は王子を戴いております。……今年で16歳になりました」
背筋を伸ばして私とローデリヒ様を見比べる彼は、どこからどう見てもローデリヒ様にそっくり。ローデリヒ様のミニチュアみたいだと思ったことは何度もあったけど、成長しても似ているのはびっくりしたな……。
……なんて、そんな事を考えてしまうくらいには、この非現実的な状況に混乱している。
ローデリヒ様も似たようなもので、アーベル(16歳)の自己紹介に「そうか……」と言ったっきり悩むように口元に手を当てて黙り込んだ。
「父様、母様、申し訳ありません。いきなり僕が16歳になったなんて、信じられませんよね……」
しゅん、と落ち込む彼に、私は思わず手を振って否定した。