この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
……え、ちょっと待って。
アーベルが祖父である国王様の事が分からないって、そんなまさか。
まさか、15年後の未来には――。
隣のローデリヒ様も息を飲んだ。
私達がハラハラする中、国王様はニンマリと笑って堂々と口を開く。
「ワシはキルシュライト国王、ディートヘルム・エリーアス・キルシュライトじゃ」
「あっ、祖父様でしたか。申し訳ありません。今と随分体型が違っていたので……。昔は太……いえ、ふくよかだったと父様が仰っていたのは本当だったんですね」
アーベルが納得したようにニコニコと微笑む。予想していた反応とは違って、私は無意識に張り詰めていた息を吐いた。ローデリヒ様も脱力していた。
「……という事は、15年後の父上はお痩せになっているということか?」
「はい。……痩せているというか、随分と鍛えているようなので、筋肉隆々としていらっしゃいます」
「ち……、父上が、筋肉隆々……っ?!」
海色の瞳を大きく見開くローデリヒ様は、たぶん今までの話の中で一番驚いているらしかった。
アーベルが祖父である国王様の事が分からないって、そんなまさか。
まさか、15年後の未来には――。
隣のローデリヒ様も息を飲んだ。
私達がハラハラする中、国王様はニンマリと笑って堂々と口を開く。
「ワシはキルシュライト国王、ディートヘルム・エリーアス・キルシュライトじゃ」
「あっ、祖父様でしたか。申し訳ありません。今と随分体型が違っていたので……。昔は太……いえ、ふくよかだったと父様が仰っていたのは本当だったんですね」
アーベルが納得したようにニコニコと微笑む。予想していた反応とは違って、私は無意識に張り詰めていた息を吐いた。ローデリヒ様も脱力していた。
「……という事は、15年後の父上はお痩せになっているということか?」
「はい。……痩せているというか、随分と鍛えているようなので、筋肉隆々としていらっしゃいます」
「ち……、父上が、筋肉隆々……っ?!」
海色の瞳を大きく見開くローデリヒ様は、たぶん今までの話の中で一番驚いているらしかった。