この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】

悪い面は似るものらしい。(ローデリヒ)

 ふと、話している内容に違和感を感じた。
 長年の付き合いだからこそ感じるような、そんな些細なもの。

 勿論、ローデリヒと()の付き合いは浅い。浅いが、半分血を分けた血縁者であったから、感じ取れたものだったのだろうか。

 片付けが終わったと報告があったので、アリサを先に寝室へと帰し、改めて彼――アーベルへと向き合う。国王も神妙な顔つきでアーベルの隣に腰を下ろした。


「……能力を使用した時の制約、それだけではないだろう?」


 穏やかな海色の瞳をほんの少しだけ見張って、アーベルは笑みに苦いものを滲ませた。まさかバレるとは思っていなかった、そんな雰囲気で。


「……分かってしまいましたか」

「制約について全てを話している訳ではなかったからな」

「そうですね。父様の仰る通りです。……僕は全てを話していた訳ではない」


 ローデリヒは腕を組んで厳しい表情を浮かべた。


「……そして、話すつもりもない、ということか」

「深刻な話ではないですから……」
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