この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
(後編)恋って――
なに?
十六歳のアーベルが急にタイムスリップしてきた翌朝――。
「…………ぜ、全然眠れなかった……」
というか、衝撃的すぎて眠れるわけがない。寝不足だったはずなんだけどな。重い頭を抱えながら、ベッドから出る。
ローデリヒ様の姿はもうなかった。
寝室のソファーに乱雑にローデリヒ様の寝間着が掛けられているので、多分一緒に寝ていたんだと思う。私の方が早く寝たはずだけど……、ローデリヒ様昨日ほとんど眠れていないんじゃないだろうか。
「奥様?お目覚めですか?」
扉の外から声がかかって、私は返事をした。部屋に入ってきたのは、ちょっと小太りの白髪のおばあさん――ゼルマさんだ。優しいそうな表情の彼女は、現役バリバリの私の侍女長さんだったりする。
そして、ローデリヒ様の母方の祖母。
今世の記憶がすっぽり無くなって、前世の記憶を思い出した時も良くしてくれたし……、今世の記憶を思い出した時もローデリヒ様の祖母という事で甘えてしまっていることが多い。
身近なところに家族がいるっていいよね。
「お腹、大きくなってきましたね」
「ですよねえ。つわりもおさまってくれたし、成長してます」
しわくちゃな顔をより一層しわくちゃにして、ゼルマさんは嬉しそうに私の着替えを手伝ってくれる。
「…………ぜ、全然眠れなかった……」
というか、衝撃的すぎて眠れるわけがない。寝不足だったはずなんだけどな。重い頭を抱えながら、ベッドから出る。
ローデリヒ様の姿はもうなかった。
寝室のソファーに乱雑にローデリヒ様の寝間着が掛けられているので、多分一緒に寝ていたんだと思う。私の方が早く寝たはずだけど……、ローデリヒ様昨日ほとんど眠れていないんじゃないだろうか。
「奥様?お目覚めですか?」
扉の外から声がかかって、私は返事をした。部屋に入ってきたのは、ちょっと小太りの白髪のおばあさん――ゼルマさんだ。優しいそうな表情の彼女は、現役バリバリの私の侍女長さんだったりする。
そして、ローデリヒ様の母方の祖母。
今世の記憶がすっぽり無くなって、前世の記憶を思い出した時も良くしてくれたし……、今世の記憶を思い出した時もローデリヒ様の祖母という事で甘えてしまっていることが多い。
身近なところに家族がいるっていいよね。
「お腹、大きくなってきましたね」
「ですよねえ。つわりもおさまってくれたし、成長してます」
しわくちゃな顔をより一層しわくちゃにして、ゼルマさんは嬉しそうに私の着替えを手伝ってくれる。