この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「……健康でいてくれればいいんです。…………健康で、幸せでいてくれれば、それで」
小さな呟きだった。
でも私の耳にちゃんと届いた言葉は、痛いくらい心に響いた。
「……本当にそうですよね」
私はこの子も、アーベルも、健康で幸せでいてくれればそれでいいんだ。
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「母様、おはようございます」
「おはようアーベル。よく眠れた?」
「はい!」
十六歳のアーベルが翌朝もいたのはびっくりだったが、一日きっかり経たないと元の時代に帰れない――というか、帰り方は一日経った瞬間に強制帰還以外にないらしい。
話を聞くと、アーベルくんは昨晩は国王様の元で過ごしたんだと。国王様の体は太……ふくよかだから、かなりベッドが大きかったと無邪気に微笑んでいた。
小さな呟きだった。
でも私の耳にちゃんと届いた言葉は、痛いくらい心に響いた。
「……本当にそうですよね」
私はこの子も、アーベルも、健康で幸せでいてくれればそれでいいんだ。
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「母様、おはようございます」
「おはようアーベル。よく眠れた?」
「はい!」
十六歳のアーベルが翌朝もいたのはびっくりだったが、一日きっかり経たないと元の時代に帰れない――というか、帰り方は一日経った瞬間に強制帰還以外にないらしい。
話を聞くと、アーベルくんは昨晩は国王様の元で過ごしたんだと。国王様の体は太……ふくよかだから、かなりベッドが大きかったと無邪気に微笑んでいた。