この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 確かに大好きなんだよね。恋バナ。
 前世は女子校だったので、私自身は全くなかった。でも、肉食系女子はよく近くの男子校の生徒と合コンとか、複数人での遊びの場を作ったりとかして、彼氏を作ってたなあ。

 今世は結婚前は恋愛している状況ではなく、今は結婚して子供もいる。そして――、まさかの恋バナ相手が自分の子供というこの状況。

 深刻な状態である。


「こ……、恋ってなんだろう……?」


 初恋すらまだだったなんて。人生二度もあって、恋したことないなんてちょっと深刻すぎない?

 既婚者だから今後も恋する予定なんてないし……。

 なんかローデリヒ(息子)とイチャついてたのに、恐ろしい疑問が聞こえた気がするのじゃが……、と国王様はドン引きしていたけど、気を取り直したようにアーベルに話を振った。


「そういえば、十五年後のローデリヒとアリサはどうじゃ?仲良うやっているのか?」

「父様と母様ですか?そうですね……、かなり上手くやっている方かと思います」

「そうかそうか。まあ、ローデリヒはワシと違って、頑固で堅物で真面目じゃからのう。側室だって娶れはせんじゃろう」


 何故か得意気に語った国王様に、アーベルは不思議そうにぱちぱちと海色の瞳を瞬かせた。そして首を傾げる。
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