この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「アリサはローデリヒに側室出来てもよいのかの?」
「側室……」
側室は居てもいいとは思っていた。
というか、直系王族だから仕方ないと思っていた。
「……出来てもいいんじゃないでしょうか?ローデリヒ様の判断ですし」
いちごのタルトの欠片をフォークで刺す。
何故か静かになってしまったこの場の空気に耐えきれなくなったのか、アーベルが立ち上がった。
「あの、僕……、お手洗いに行ってきます」
「道は分かるかの?」
「はい」
アーベルが頷いて、私達の方へと背を向けた。その後ろ姿がローデリヒ様そっくりだと、感じる。
だって、国王様にだって側室はいる。国王様の側室には子供はいないけれど、これからも子供が出来る可能性だってある。
ローデリヒ様にも側室が出来て、その側室に子供が出来るかもしれない。
そうしたら、そっちの子供に親バカ炸裂なんて事、するかもしれない。
アーベルの面倒を見てくれるローデリヒ様の姿が自然と浮かぶ。いつも愛想のない表情が、時々自然と緩むその姿を見るのが、私ではない他の誰かに変わるのだ。
「側室……」
側室は居てもいいとは思っていた。
というか、直系王族だから仕方ないと思っていた。
「……出来てもいいんじゃないでしょうか?ローデリヒ様の判断ですし」
いちごのタルトの欠片をフォークで刺す。
何故か静かになってしまったこの場の空気に耐えきれなくなったのか、アーベルが立ち上がった。
「あの、僕……、お手洗いに行ってきます」
「道は分かるかの?」
「はい」
アーベルが頷いて、私達の方へと背を向けた。その後ろ姿がローデリヒ様そっくりだと、感じる。
だって、国王様にだって側室はいる。国王様の側室には子供はいないけれど、これからも子供が出来る可能性だってある。
ローデリヒ様にも側室が出来て、その側室に子供が出来るかもしれない。
そうしたら、そっちの子供に親バカ炸裂なんて事、するかもしれない。
アーベルの面倒を見てくれるローデリヒ様の姿が自然と浮かぶ。いつも愛想のない表情が、時々自然と緩むその姿を見るのが、私ではない他の誰かに変わるのだ。