この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
床に倒れ伏した騎士が完全に伸びているのを確認し、再び《幻影光》を使った。近衛騎士が何も無かったかのように動いているのを見せる為に。
不意打ちで二人を襲ったアーベルは、ズボンのポケットから15年後から持ってきた鍵束を取り出す。迷いなく数多あるうちの一本を選び、ゆっくりと鍵穴に差し込んだ。
鍵を回すと、解錠した手応えが伝わってくる。部屋主が鍵は合っていると何度言っていても、実際使うまでは不安だった。
扉に僅かな隙間分だけ開け、部屋に誰もいないのを確認し、音をたてないよう慎重に中に入る。入るなり扉はキッチリと締め、施錠もした。
そして迷いなく部屋の中の本棚の前へ向かう。
人差し指をたて、棚をなぞるようにして本の背を確認する。焦らないように、意図的に深呼吸をした。
――キルシュライト王国詳細図、第三巻。あった。
目当ての本を本棚から抜き取った。パラパラとページを捲ると、とある所で止まる。そのページには二つ折りの紙が挟まっていて、アーベルは迷いなくそれを開いた。
ビッシリと一枚の紙に書き込まれた文字は、恐らく父親ローデリヒのもの。その文字で、事細かにスケジュールが記されていた。
食い入るように眺めていたアーベルは、気付かなかった。
いつの間にか、施錠していたはずの扉が開いていたことに。
コツ、と靴音が室内に響く。
不意打ちで二人を襲ったアーベルは、ズボンのポケットから15年後から持ってきた鍵束を取り出す。迷いなく数多あるうちの一本を選び、ゆっくりと鍵穴に差し込んだ。
鍵を回すと、解錠した手応えが伝わってくる。部屋主が鍵は合っていると何度言っていても、実際使うまでは不安だった。
扉に僅かな隙間分だけ開け、部屋に誰もいないのを確認し、音をたてないよう慎重に中に入る。入るなり扉はキッチリと締め、施錠もした。
そして迷いなく部屋の中の本棚の前へ向かう。
人差し指をたて、棚をなぞるようにして本の背を確認する。焦らないように、意図的に深呼吸をした。
――キルシュライト王国詳細図、第三巻。あった。
目当ての本を本棚から抜き取った。パラパラとページを捲ると、とある所で止まる。そのページには二つ折りの紙が挟まっていて、アーベルは迷いなくそれを開いた。
ビッシリと一枚の紙に書き込まれた文字は、恐らく父親ローデリヒのもの。その文字で、事細かにスケジュールが記されていた。
食い入るように眺めていたアーベルは、気付かなかった。
いつの間にか、施錠していたはずの扉が開いていたことに。
コツ、と靴音が室内に響く。