この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
アーベルは反射的にローブのフードを被り、息を潜めた。本は手に持ったまま。一応触れていたので、《幻影光》の影響下にあった。
チラリと視線だけで入ってきた人の方を見る。視界があまり良くなく、入ってきた人物の服が近衛騎士の隊服のズボンと同じ事しか分からない。
部屋の中央で、その人は勿体ぶるようにして立ち止まった。
「近衛騎士な様子がおかしいなって思ってよく見たら、中々高度な《幻影光》じゃ〜ん?」
息が一瞬、止まった。
相手をおちょくるように、ふはっ、と息を漏らすように笑った男が、――こちらに靴先を向けた。
「も〜、すげ〜びっくりしたよねえ?どんな手練かな〜って。オレ達光の一族に光属性で挑むなんてさ〜〜あ゛?」
考えるよりも体が動いていた。左足を後ろに下げて上体を傾ける。
先程までいた場所をキラリとした物が通過する。背後の本に刺さって、ようやくそれが何であるか視認できた。
針だ。
「あ〜、やっぱりそこなんだ〜?」
チラリと視線だけで入ってきた人の方を見る。視界があまり良くなく、入ってきた人物の服が近衛騎士の隊服のズボンと同じ事しか分からない。
部屋の中央で、その人は勿体ぶるようにして立ち止まった。
「近衛騎士な様子がおかしいなって思ってよく見たら、中々高度な《幻影光》じゃ〜ん?」
息が一瞬、止まった。
相手をおちょくるように、ふはっ、と息を漏らすように笑った男が、――こちらに靴先を向けた。
「も〜、すげ〜びっくりしたよねえ?どんな手練かな〜って。オレ達光の一族に光属性で挑むなんてさ〜〜あ゛?」
考えるよりも体が動いていた。左足を後ろに下げて上体を傾ける。
先程までいた場所をキラリとした物が通過する。背後の本に刺さって、ようやくそれが何であるか視認できた。
針だ。
「あ〜、やっぱりそこなんだ〜?」