この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
行方不明の王子様?
「いや、やっぱり一時間もお手洗いは長すぎますよ?!」
そしてその間に、テーブルにあった数々のスイーツのほとんどが国王様の胃の中に収まってしまった。
つわりで中々食べられない期間を抜け、ようやく色々と美味しいものが再び食べれるようになって、ついつい食べすぎてしまう私でも、見ているだけで胸焼けしてしまった。
三十分経過した頃にも、アーベルが帰ってくるのが遅いと国王様に言ったが、「三十分トイレに篭ることもあるじゃろ」と言われ渋々従っていた。けれど、流石に1時間は掛かりすぎた。どこかで迷子になっていそうだ。
「一時間も掛かるとは思わなかったのう」
国王様も不思議そうにパチパチと目を瞬かせる。三十分の段階で探しに行っていれば、今ここにアーベルはいたんじゃないだろうか。
よっこらせ、と言いながら立ち上がる国王様に続いて、私も腰を上げる。妊婦じゃから無理するでない、と言われたが、流石にアーベルが心配だった。
「ローデリヒ様の所に行っているかもしれません。ローデリヒ様の所に探しに行ってもいいですか?」
「あー、まあ、ローデリヒの所ならば良いか。ワシは思い当たる所を見てくるからの。アリサ、無理はするでないぞ」
ではの!と片手を軽く挙げ、お腹に赤ちゃんが5人くらい入ってそうなお腹を揺らしながら、国王様は颯爽と走り去っていく。体重なんてないような動きを見せた国王様に、一瞬呆気にとられた。
そういえば前にも廊下を走っている所を見た。ローデリヒ様はアーベル抱えながらだったけど、国王様に全く追いつけてなかった覚えが……。
そしてその間に、テーブルにあった数々のスイーツのほとんどが国王様の胃の中に収まってしまった。
つわりで中々食べられない期間を抜け、ようやく色々と美味しいものが再び食べれるようになって、ついつい食べすぎてしまう私でも、見ているだけで胸焼けしてしまった。
三十分経過した頃にも、アーベルが帰ってくるのが遅いと国王様に言ったが、「三十分トイレに篭ることもあるじゃろ」と言われ渋々従っていた。けれど、流石に1時間は掛かりすぎた。どこかで迷子になっていそうだ。
「一時間も掛かるとは思わなかったのう」
国王様も不思議そうにパチパチと目を瞬かせる。三十分の段階で探しに行っていれば、今ここにアーベルはいたんじゃないだろうか。
よっこらせ、と言いながら立ち上がる国王様に続いて、私も腰を上げる。妊婦じゃから無理するでない、と言われたが、流石にアーベルが心配だった。
「ローデリヒ様の所に行っているかもしれません。ローデリヒ様の所に探しに行ってもいいですか?」
「あー、まあ、ローデリヒの所ならば良いか。ワシは思い当たる所を見てくるからの。アリサ、無理はするでないぞ」
ではの!と片手を軽く挙げ、お腹に赤ちゃんが5人くらい入ってそうなお腹を揺らしながら、国王様は颯爽と走り去っていく。体重なんてないような動きを見せた国王様に、一瞬呆気にとられた。
そういえば前にも廊下を走っている所を見た。ローデリヒ様はアーベル抱えながらだったけど、国王様に全く追いつけてなかった覚えが……。