この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
――遡ること、四十分前。
男とアーベルは、王太子の私室で対峙していた。
「いや〜、まあ、まさかねえ?流石に隠し子ってことは…………、赤の他人にしてはローデリヒに似すぎだし、その光属性魔法……どっかでオレたちと血が繋がってそうだなぁ?」
男の琥珀色の瞳がスっと細められる。
隠し子どころか直系王族なのだが、アーベルは黙って短剣を構えた。あまり口を動かさずに、小声で魔法を唱える。
「《魔光球》」
アーベルの周りに数多くの光の球体が現れ、一気に男へと打ち出される。男はまた予備動作なく、アーベルと同じ数だけの光の球体を作り出して放つ。二人の中間地点で球体はぶつかり合って、爆発した。完全に男に相殺されている。
アーベルとて、先程からの流れで、この男がただの優男でない事は既に分かっていた。何より自身の父親を呼び捨てにしたのだ。相当上の方の位にいる人間である。
そして、キルシュライト王家の光の一族はオレたちとも言ってしまっている。
だが、この人物の特定が出来ない。
男とアーベルは、王太子の私室で対峙していた。
「いや〜、まあ、まさかねえ?流石に隠し子ってことは…………、赤の他人にしてはローデリヒに似すぎだし、その光属性魔法……どっかでオレたちと血が繋がってそうだなぁ?」
男の琥珀色の瞳がスっと細められる。
隠し子どころか直系王族なのだが、アーベルは黙って短剣を構えた。あまり口を動かさずに、小声で魔法を唱える。
「《魔光球》」
アーベルの周りに数多くの光の球体が現れ、一気に男へと打ち出される。男はまた予備動作なく、アーベルと同じ数だけの光の球体を作り出して放つ。二人の中間地点で球体はぶつかり合って、爆発した。完全に男に相殺されている。
アーベルとて、先程からの流れで、この男がただの優男でない事は既に分かっていた。何より自身の父親を呼び捨てにしたのだ。相当上の方の位にいる人間である。
そして、キルシュライト王家の光の一族はオレたちとも言ってしまっている。
だが、この人物の特定が出来ない。