この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
スっとこの場の空気が五度位下がった。数いる側室達が、ハイデマリー様のお茶を飲めないなんて、といった空気を出してくる。完全に私が悪者になっていた。
それに追い討ちをかけるようにハイデマリー様は、チラリと侍女の一人を見やる。
「ああ、もしかして、淹れた者が悪かったのかしら……?」
ハイデマリー様に見られた侍女は哀れな程、真っ青になっていた。ここで私が頷いたら絶対侍女はクビになるだろう。もしかしたら、物理的に首が飛ぶかもしれない。
変な風に注目を浴びてしまった私は、おそるおそるティーカップに口をつけたフリをした。
「……とても、美味しいですわ」
「そう。よかったわ……。沢山飲んで下さいね。おかわりもあるわ。ねえ?」
ハイデマリー様が可愛らしい笑みを浮かべながら、片手を軽く挙げる。心得たように、私の近くにいた侍女がティーポットを持って私の傍に寄ってきた。おかわりしろということか。
だけど、私のティーカップの紅茶は全然減っていない。
……確実に飲めということですよね。
おまけに他の側室達は、ハイデマリー様の意を汲んでか次々に紅茶を飲み干している。そして、侍女に淹れたてを注いでもらっていた。
完全にアウェーだった。
怖くて飲みたくない。もし飲んで毒とか入っていたらお腹の子供まで影響がある。絶対に飲めない。
それに追い討ちをかけるようにハイデマリー様は、チラリと侍女の一人を見やる。
「ああ、もしかして、淹れた者が悪かったのかしら……?」
ハイデマリー様に見られた侍女は哀れな程、真っ青になっていた。ここで私が頷いたら絶対侍女はクビになるだろう。もしかしたら、物理的に首が飛ぶかもしれない。
変な風に注目を浴びてしまった私は、おそるおそるティーカップに口をつけたフリをした。
「……とても、美味しいですわ」
「そう。よかったわ……。沢山飲んで下さいね。おかわりもあるわ。ねえ?」
ハイデマリー様が可愛らしい笑みを浮かべながら、片手を軽く挙げる。心得たように、私の近くにいた侍女がティーポットを持って私の傍に寄ってきた。おかわりしろということか。
だけど、私のティーカップの紅茶は全然減っていない。
……確実に飲めということですよね。
おまけに他の側室達は、ハイデマリー様の意を汲んでか次々に紅茶を飲み干している。そして、侍女に淹れたてを注いでもらっていた。
完全にアウェーだった。
怖くて飲みたくない。もし飲んで毒とか入っていたらお腹の子供まで影響がある。絶対に飲めない。