この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「……何をしているんですか?父上」
目の前の光景にローデリヒは思わず目が細くなった。アリサにアーベルが居なくなったと聞き、慌てて居そうな場所を走り回っていたら、私室の扉の代わりに大きな穴が空いていたのを発見したのである。扉を守っているはずの近衛騎士は二人共倒れ伏していた。
そして、室内では国王が男に馬乗りになりながら、男の衣服をまさぐっているのである。
正直、色々と見たくない光景だった。
「ローデリヒか。どうしたんじゃ?」
「いや、それは私の台詞です。一体何を……」
ローデリヒは話しながら気付いた。国王に馬乗りにされている人物が一体誰であるのかを。
「エーレンフリート、か?」
顔を真っ青にしているが、キルシュライト王族によくいるローデリヒと同色の長い髪に、琥珀色の瞳。優男そうに見えて、実際のところ気性は荒い方である親戚がそこにはいた。ヴォイルシュ公爵家の末っ子で、ローデリヒと歳が近い。そんな経緯で、親戚の中では一番関わりがある。そして、彼は近衛騎士団長という立場でもあった。
目の前の光景にローデリヒは思わず目が細くなった。アリサにアーベルが居なくなったと聞き、慌てて居そうな場所を走り回っていたら、私室の扉の代わりに大きな穴が空いていたのを発見したのである。扉を守っているはずの近衛騎士は二人共倒れ伏していた。
そして、室内では国王が男に馬乗りになりながら、男の衣服をまさぐっているのである。
正直、色々と見たくない光景だった。
「ローデリヒか。どうしたんじゃ?」
「いや、それは私の台詞です。一体何を……」
ローデリヒは話しながら気付いた。国王に馬乗りにされている人物が一体誰であるのかを。
「エーレンフリート、か?」
顔を真っ青にしているが、キルシュライト王族によくいるローデリヒと同色の長い髪に、琥珀色の瞳。優男そうに見えて、実際のところ気性は荒い方である親戚がそこにはいた。ヴォイルシュ公爵家の末っ子で、ローデリヒと歳が近い。そんな経緯で、親戚の中では一番関わりがある。そして、彼は近衛騎士団長という立場でもあった。