この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
(後編)大騒動は突然に――
証明?
「……キスされたんだよね」
「はあ」
「……そして、耳触られたんだよね」
「……はあ」
「なんかこう……すっごく、いやらしい手付きで」
おかしい。
真剣な話をしているはずなのに、ヴァーレリーちゃんがゲンナリとした顔をしている。目なんて濁っていた。魚屋の魚の方がまだ澄んだ目をしている。
十六歳のアーベルが来た日からはや数日。
アーベルは迷子になるわ、私は後宮でお茶会に参加してるわ、長い一日だったように思う。私の能力がハイデマリー様にバレていた件については、ローデリヒ様が調べておくと言っていた。
ローデリヒ様万能すぎない?
アーベルはきっかり一日であっさり帰っていったので、やっぱり間違ってあの日に来ちゃったんだね。
そして、帰ってきたそろそろ一歳半になるアーベルの夜泣きは相変わらず治まらなくて、とても困っている。特にそれまで一緒に寝なくても大丈夫だったのに、アーベルが私にべったりなんだよね。
ローデリヒ様には寝室を分けようと切り出したけど、彼は彼で私達と離れたくないらしい。こっちもべったりなのか……?
「はあ」
「……そして、耳触られたんだよね」
「……はあ」
「なんかこう……すっごく、いやらしい手付きで」
おかしい。
真剣な話をしているはずなのに、ヴァーレリーちゃんがゲンナリとした顔をしている。目なんて濁っていた。魚屋の魚の方がまだ澄んだ目をしている。
十六歳のアーベルが来た日からはや数日。
アーベルは迷子になるわ、私は後宮でお茶会に参加してるわ、長い一日だったように思う。私の能力がハイデマリー様にバレていた件については、ローデリヒ様が調べておくと言っていた。
ローデリヒ様万能すぎない?
アーベルはきっかり一日であっさり帰っていったので、やっぱり間違ってあの日に来ちゃったんだね。
そして、帰ってきたそろそろ一歳半になるアーベルの夜泣きは相変わらず治まらなくて、とても困っている。特にそれまで一緒に寝なくても大丈夫だったのに、アーベルが私にべったりなんだよね。
ローデリヒ様には寝室を分けようと切り出したけど、彼は彼で私達と離れたくないらしい。こっちもべったりなのか……?