この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
あれから大きい事件というと、国王様に隠し子がいるって話だったな。ゲルストナー宰相とヴォイルシュ公爵家が血眼になって探しているらしい。国王様は身に覚えがないとか言っていて、ローデリヒ様に「流石に認知しないのは最低だと思います」と冷たい目で見られていた。
まあ、そんなこんなで、十六歳のアーベルがタイムスリップしてきた日から数日経ったんだよ。
経って、しまったんだよ。
私はずっとモヤモヤしていた。不安とかそういった方面で。理由はローデリヒ様にされたキス。だから、同世代で婚約者のいるヴァーレリーちゃんと、恋愛経験豊富そうなイーナさんに話を聞いてもらうことにしたのだ。
「…………それで、殿下を殴ってしまったと」
「そうです……。ほら、反射的にね?反射的にやっちゃったんだよ?自分の意思はなかったっていうか……、悪気はなかったというか……」
ヴァーレリーちゃんは栗色の瞳を更に濁らせた。イーナさんは何やらワクワクした様子で私達を見守っている。
「つまり、奥様は殿下にいやらしい手付きで触られる事自体は嫌でなく、反射的に殴ってしまった事を気にしている……ということですか」
「えっ」
「えっ、違うんですか?」
なんかヴァーレリーちゃんに、とても面倒くさそうな顔をされた。本当に感情を隠さないよねヴァーレリーちゃん。
まあ、そんなこんなで、十六歳のアーベルがタイムスリップしてきた日から数日経ったんだよ。
経って、しまったんだよ。
私はずっとモヤモヤしていた。不安とかそういった方面で。理由はローデリヒ様にされたキス。だから、同世代で婚約者のいるヴァーレリーちゃんと、恋愛経験豊富そうなイーナさんに話を聞いてもらうことにしたのだ。
「…………それで、殿下を殴ってしまったと」
「そうです……。ほら、反射的にね?反射的にやっちゃったんだよ?自分の意思はなかったっていうか……、悪気はなかったというか……」
ヴァーレリーちゃんは栗色の瞳を更に濁らせた。イーナさんは何やらワクワクした様子で私達を見守っている。
「つまり、奥様は殿下にいやらしい手付きで触られる事自体は嫌でなく、反射的に殴ってしまった事を気にしている……ということですか」
「えっ」
「えっ、違うんですか?」
なんかヴァーレリーちゃんに、とても面倒くさそうな顔をされた。本当に感情を隠さないよねヴァーレリーちゃん。