この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「触られた事については嫌じゃないです」

「そうか……。だが、無理はするな」

「嫌じゃないんですって」

「分かった。しかし、私に気を遣う必要はない」


 駄目だ。あんまり信じてもらえてない気がする。

 こうなった原因は、きっと何度もローデリヒ様ボコボコにしてしまった事だろう。むしろ、ボコボコにしすぎた気しかしない。ローデリヒ様、王太子様なのに。


「分かりました。なら、今から証明します」

「……は?証明?」


 ローデリヒ様はどういう事か分からずに、私の言葉を繰り返した。






「ローデリヒ様は何にもしないで下さいね」

「あ、ああ……。分かった……」


 ベッドの上でローデリヒ様は胡座をかく。私は膝立ちでローデリヒ様に向かい合った。

 そして、そのまま数秒、お互い固まった。

 図らずも、イーナさんのアドバイスが実行出来る流れになってしまったんだけど……、改めて意識すると恥ずかしい。
 というか、触れるって例えばどうすればいいの?
 しまった。詳しく聞いておけばよかった。
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