この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「あと、アルヴォネン王国で狙われていたのも気がかりだわ……。この前の襲撃も関係しているのでしょう?」


 そこまで言ってから、クスリとハイデマリーは小さく笑う。


「でも、わたくしはほとんど聞いた話ばかりですわ。だって、後宮から出られないのですもの」

「よく言うわい。よく転移で脱走している癖に」


 呆れたように肩を竦めた国王。ハイデマリーはその様子に楽しそうに声をあげる。そして、ローデリヒが消えた扉を見やった。


「ふふっ。これでもわたくし、心配しているんですのよ?」
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