この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「そんなに興味無さそうだったか?」

「そりゃあな?人の形してたら誰でもいいってカンジ?そのうち変な女と結婚させられて、尻に敷かれてそ〜なイメージだったんだけどなぁ」

「いや流石に人間以外と結婚は無理だが……」


 エーレンフリートが持ってこさせた果実水をローデリヒは受け取る。イーヴォは任務中で控え、エーレンフリートも近衛騎士団長なので酒類を控えていた。

 ローデリヒはグラスに口を付ける。だが、苦くて微妙な顔つきになった。果実水は甘いはずなのに。
 昼間に飲んだ丸薬の風味がまだ口の中に残っている。
 あれから水を飲んでも丸薬の味しかせずに、味覚が馬鹿になっていた。


「ど〜した?」


 ローデリヒの表情の変化を悟ったエーレンフリートが問い掛ける。ローデリヒは果実水を少し持ち上げて示した。


「いや……、苦くてな」

「え?果実水じゃねぇの?苦い?」


 自分のグラスの匂いを嗅ぐエーレンフリート。ローデリヒは首を横に振った。


「つい数時間前に飲んだ薬の味が残っていてだな」

「どんな薬だよそれ……」
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