この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
流石に様子が変だと思った侯爵が、ローデリヒの顔色を伺う。ローデリヒはなんとかそれに返事を返すと、小走りで会場の外へと出る。
胃液がせりあがってくる。
「殿下?!」
びっくりした様子のイーヴォが慌ててローデリヒへと声を掛ける。だが、ローデリヒはそれに構うことなど出来ずに、近くの適当な休憩室へと入った。
そして、洗面所に駆け込む。たまらずに、胃の中に入れた果実水を戻してしまった。
「…………ぅ、」
洗面所に取り付けられている青い魔石に触れながら、手と口を濯ぐ。それでも吐き気は治まらない。胸部の不快感も。
見上げると鏡に映った自身の頬は紅潮していた。冷やすように水に濡れた自分の手を、頬に持ってくる。
「……は、」
だが、それは気休めにもならなかった。体が重くなってくる。水を出しっぱなしにしたまま、ローデリヒは自分を支えられずに洗面台にもたれ掛かるようにズルズルと座り込む。視界がボヤける。
意識が薄れる直前、部屋の扉が開いたような音がした気がした。
胃液がせりあがってくる。
「殿下?!」
びっくりした様子のイーヴォが慌ててローデリヒへと声を掛ける。だが、ローデリヒはそれに構うことなど出来ずに、近くの適当な休憩室へと入った。
そして、洗面所に駆け込む。たまらずに、胃の中に入れた果実水を戻してしまった。
「…………ぅ、」
洗面所に取り付けられている青い魔石に触れながら、手と口を濯ぐ。それでも吐き気は治まらない。胸部の不快感も。
見上げると鏡に映った自身の頬は紅潮していた。冷やすように水に濡れた自分の手を、頬に持ってくる。
「……は、」
だが、それは気休めにもならなかった。体が重くなってくる。水を出しっぱなしにしたまま、ローデリヒは自分を支えられずに洗面台にもたれ掛かるようにズルズルと座り込む。視界がボヤける。
意識が薄れる直前、部屋の扉が開いたような音がした気がした。