この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
待って、情報量が多すぎる(他)
「……それにしても、ゲルストナー、貴方本気でローデリヒ殿下に側室を宛てがうつもりだったのね」
クスリ、と妖艶な美女が笑い声を漏らした。国王と離れて人気のない廊下へとやってきたハイデマリーは、中年の不健康そうな男と対峙する。
先程、赤髪の少女を部屋の中に入れたゲルストナーは、眼鏡のブリッジを押し上げた。
「ただでさえ王族は数が少ないですからね。ゲルストナー家には跡継ぎはいませんし、ヴォイルシュ家は血が薄くなっています。ローデリヒ殿下には次代へ血を繋いでいただかなくては。ローデリヒ殿下は陛下に似て……その……夫婦関係はお盛んなようですし……」
中年男が非常に言いづらそうに、目を泳がせながら顔を赤らめる。ローデリヒと親子ほどの年の離れた男が下世話な話をするその姿は、中々に気持ち悪かった。思わずハイデマリーは冷ややかな目線を送ってしまう。それに気付いたゲルストナーは、彼女を非難した。
「ティベルデを紹介したのはハイデマリー様ではありませんか?!」
ローデリヒのいる部屋に入っていった赤毛の少女――ティベルデを紹介したのは確かにハイデマリーだった。ゲルストナーの言っていることは間違いではない。
クスリ、と妖艶な美女が笑い声を漏らした。国王と離れて人気のない廊下へとやってきたハイデマリーは、中年の不健康そうな男と対峙する。
先程、赤髪の少女を部屋の中に入れたゲルストナーは、眼鏡のブリッジを押し上げた。
「ただでさえ王族は数が少ないですからね。ゲルストナー家には跡継ぎはいませんし、ヴォイルシュ家は血が薄くなっています。ローデリヒ殿下には次代へ血を繋いでいただかなくては。ローデリヒ殿下は陛下に似て……その……夫婦関係はお盛んなようですし……」
中年男が非常に言いづらそうに、目を泳がせながら顔を赤らめる。ローデリヒと親子ほどの年の離れた男が下世話な話をするその姿は、中々に気持ち悪かった。思わずハイデマリーは冷ややかな目線を送ってしまう。それに気付いたゲルストナーは、彼女を非難した。
「ティベルデを紹介したのはハイデマリー様ではありませんか?!」
ローデリヒのいる部屋に入っていった赤毛の少女――ティベルデを紹介したのは確かにハイデマリーだった。ゲルストナーの言っていることは間違いではない。