この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「大体、王家の血筋が全然いないって……ゲルストナー家については貴方のせいではなくって?」
ヒックヒックとしゃくりあげる中年男にド正論を投げかけると、涙を零しながら釈明した。
「……再婚話は何度も出たんです。でも、逃げられるかもしれないと思うと、再婚話の出た女性と全く話せなくて……!」
ゲルストナーの心は繊細だったらしい。真逆を行くハイデマリーにはゲルストナーの心情はあまり理解出来なかったが、どうせ今ゲルストナーが再婚しても子供はアーベルとアリサの腹の子よりも年下になる。
まずゲルストナーに子供が出来る確証すらないのだし、数年待たなければいけない事だ。
「あっれぇ〜、おふたりさんどうしたんですか?」
緊張感のない声がハイデマリーとゲルストナーの間に割り込む。ゲルストナーは声の主の方を向いて、眼鏡のブリッジを押し上げる。その顔には隠しきれない嫌悪を浮かべていた。
「エーレンフリートか……。お前もそろそろ遊んでないで身を固めろ」
軽く手を振って近付いてきたエーレンフリートを、汚らわしい目で見るゲルストナー。エーレンフリートの隣には、とある貴族の既婚女性がしなだれかかるようにして立っている。
「やっだな〜、オレまだ若いからい〜じゃん?それより、いいの?ローデリヒのこと。バレたら大目玉なんじゃないの〜?」
ヒックヒックとしゃくりあげる中年男にド正論を投げかけると、涙を零しながら釈明した。
「……再婚話は何度も出たんです。でも、逃げられるかもしれないと思うと、再婚話の出た女性と全く話せなくて……!」
ゲルストナーの心は繊細だったらしい。真逆を行くハイデマリーにはゲルストナーの心情はあまり理解出来なかったが、どうせ今ゲルストナーが再婚しても子供はアーベルとアリサの腹の子よりも年下になる。
まずゲルストナーに子供が出来る確証すらないのだし、数年待たなければいけない事だ。
「あっれぇ〜、おふたりさんどうしたんですか?」
緊張感のない声がハイデマリーとゲルストナーの間に割り込む。ゲルストナーは声の主の方を向いて、眼鏡のブリッジを押し上げる。その顔には隠しきれない嫌悪を浮かべていた。
「エーレンフリートか……。お前もそろそろ遊んでないで身を固めろ」
軽く手を振って近付いてきたエーレンフリートを、汚らわしい目で見るゲルストナー。エーレンフリートの隣には、とある貴族の既婚女性がしなだれかかるようにして立っている。
「やっだな〜、オレまだ若いからい〜じゃん?それより、いいの?ローデリヒのこと。バレたら大目玉なんじゃないの〜?」