この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
エーレンフリートが部下の姿を認めて目を丸くする。イーヴォは同僚の近衛騎士の脇から室内を覗き込んだ。白衣の者達が慌ただしく動き回っている。
「し、失礼します!」
誰の返事も待たずにイーヴォは踏み込んだ。エーレンフリートが後ろからやや焦った声を出したが、気にしない。部屋の奥にあるはずの寝室へと向かう。
目に飛び込んできたのは、寝台の上にはシーツで胸を隠し、上体を起こしただけの赤髪の少女と――、
力なくまぶたを閉じる己の主だった。
「で、殿下っ?!」
泡を食ったようにイーヴォはローデリヒに駆け寄ろうとする。だが、足は止まった。手前の床で崩れ落ちるようにして座り込む、この王国で一番高貴な人が叫んだからだった。
「ふ、腹上死か……?!」
「…………は?!」
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今夜はパーティーらしい。私も出た方がいいかなって思ったけど、待機命令が出た。
前回の襲撃も理由だけど、そろそろお腹も出てきているからバレそうなんだよね。安定期になってから公表はしたい。