この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 勢い込んでローデリヒ様の顔面に掛け布団が当たってしまったけど、彼は緩慢な動作で布団から顔を出す。


「でも、目を覚ましてよかったです。気持ち悪いとかあります?なんか食べれます?」

「……目を覚ます?私は何故寝ているんだ?」


 やや意識がはっきりしてきたようだけど、まだまだぼんやりとした声音だ。頬もやや赤い。


「何故寝ているって……」


 そういえば、なんでローデリヒ様って眠ったままなんだったっけ?
 近衛騎士が呼びに来た時、「自作の薬を飲んだ」とか「国王の側室と同衾していた」とか言っていた気がする。


「……なんか私には深い事情は聞いていないんですけど、ローデリヒ様って自分で作った薬飲んだんですか?」

「飲んだが……、それがどうした?」

「いや、自作の薬なんて飲んじゃダメですって!!」

「大丈夫だ。問題はない。それにしても、睡眠薬を作って飲んだ訳では無いのだが……」

「いや、問題大アリでは」


 ローデリヒ様がサラッと重大な問題を流したけど、薬について私は全く分からないので置いておく。


「心配したんですよ。何か危なそうなものはもう飲まないで下さいね」
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