この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「私は理性的なはずだ……」

「ええ。よく持ちこたえていると思いますよ」


 ニコニコと微笑んでいるジギスムントさんがローデリヒ様を慰める。ローデリヒ様はあまり状況がよく呑み込めていないのか、深い息をついた。


「何故媚薬を飲んだんだ……?」

「そういえば、国王様の側室様と同衾していたみたいなので、その人が詳しく知っているかもしれません」

「………………は?」


 熱なんて全て飛んだとでもいうように、瞬時にローデリヒ様は真顔になった。赤かった頬は元通りになっている。

 人ってこんなにも顔色が変わるのかってくらいに、変化が激しかった。
 あ、もしかして、気まずいのかな。


「……あ、別に浮気が云々煩くするつもりはないですし、元々側室勧めちゃってましたし……、まず王太子様なんだから浮気と言わないだろうし……」


 と言いつつ、ローデリヒ様から目が段々と逸れていく。なんで、私の方が気まずくなっているのだろうか。おかしい。なんでだろう。


「いや、待て。父上の側室と同衾していた?私がか?」

「らしいですけど……」


 考えてみると、自分の父親の奥さんと寝たって……ドロドロしすぎじゃない?昼ドラかな……。


「休憩室で戻したのを最後に記憶がない……」
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