この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「そういえば、アロイスがもうすぐ誕生日よ。だから、何かプレゼントをあげたいと思っているの」
「そうだな」
「父上、母上……。僕の誕生日はまだ先です」
抗議する目をローデリヒが二人へ向ける。
「王子の誕生日だ。今から準備してもおかしくはないだろう?何が欲しい?」
ローデリヒはしばし沈黙した。特に思いつく欲しいものはない。欲しいものは欲しい時に全て貰える。
「まあ、じっくり考えておきなさい」
ローデリヒの悩みを感じ取った国王は笑いながら、彼を腕から降ろす。六歳になって抱き上げられていたローデリヒは、恥ずかしそうにやや頬を染めながら大人しく返事をした。
周囲の風当たりこそはキツいが、まだ三人の間には穏やかな空気が流れていた。
公務で忙しい父。病弱で後宮から外へは出ない母。
そして、負けず嫌いでまだまだ子供のローデリヒ。
時々べティーナが体調を崩して心配する日々。それが彼らにとっては大事件だった。
――ローデリヒが、毒を盛られるまでは。
「そうだな」
「父上、母上……。僕の誕生日はまだ先です」
抗議する目をローデリヒが二人へ向ける。
「王子の誕生日だ。今から準備してもおかしくはないだろう?何が欲しい?」
ローデリヒはしばし沈黙した。特に思いつく欲しいものはない。欲しいものは欲しい時に全て貰える。
「まあ、じっくり考えておきなさい」
ローデリヒの悩みを感じ取った国王は笑いながら、彼を腕から降ろす。六歳になって抱き上げられていたローデリヒは、恥ずかしそうにやや頬を染めながら大人しく返事をした。
周囲の風当たりこそはキツいが、まだ三人の間には穏やかな空気が流れていた。
公務で忙しい父。病弱で後宮から外へは出ない母。
そして、負けず嫌いでまだまだ子供のローデリヒ。
時々べティーナが体調を崩して心配する日々。それが彼らにとっては大事件だった。
――ローデリヒが、毒を盛られるまでは。