この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「……お前は虚弱体質ではない。あまり風邪も引かないだろう」

「はい。でも、昔はどうだったんですか?」

「昔もお前は健康体だった。病気もしていないな」


 なんだ、とローデリヒは胸をなでおろした。自分が健康体だと認識していたものの、父親に肯定されるまで心配だったのだ。


「よかった。また母上が変なこと言ってるだけだったんですね」

「変なこと?」


 国王が眉をひそめる。ローデリヒは不満そうに唇を尖らせた。子供らしく、文句を言う。


「だって、母上、いつも僕の誕生日を間違えるんですよ」


 母親は少々おかしくなる時がある。いつもの事か、と納得をして水を飲んだ。いつの間にか乾いていた喉が潤っていく。


「……まあ、べティーナも生死をさまよったからな。あまり鮮明に覚えておらぬのだろう」

「聞いてます」


 だからこそ、ローデリヒは母親が悪く言われることが許せなかった。


「どうだ?べティーナはお前を可愛がってくれているか?」

「……最近ちょっと鬱陶しいです」
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