この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
可愛がられている。それはもう過保護な程に。ローデリヒを心配していると分かっているからこそ、あまり何も言えなかった。
だが、その言葉を聞いた国王は、満足そうに頷いた。
「そうかそうか。なら、お前をべティーナの元で育ててよかったのかもな」
ローデリヒは意味が分からずに瞬きをした。国王は気付かずに「励め」と一言告げて公務に帰っていく。その後ろ姿を見送りながら、ローデリヒは腑に落ちない顔をしたが、すぐに近衛騎士団長に呼ばれてそちらに意識が向いたのだった。
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「べティーナ。貴女、殿下をどうするつもりなの?」
赤いリップを引いた唇が不機嫌そうに歪む。後宮の主とも言われているハイデマリーは、その出身の家のこともあり、後宮の中では誰も逆らえなかった。
べティーナもハイデマリーがいきなり来ても追い払わずに中に入れていた。時々顔を合わせるハイデマリーをローデリヒは苦手としていたが、べティーナはそうでもないらしい。
「アロイスには危ないことをして欲しくないだけです」
カリカリと神経質そうに言うハイデマリーにべティーナはのんびりと返す。間に挟まっているローデリヒは、黙ったまま話の行方を見守っていた。
だが、その言葉を聞いた国王は、満足そうに頷いた。
「そうかそうか。なら、お前をべティーナの元で育ててよかったのかもな」
ローデリヒは意味が分からずに瞬きをした。国王は気付かずに「励め」と一言告げて公務に帰っていく。その後ろ姿を見送りながら、ローデリヒは腑に落ちない顔をしたが、すぐに近衛騎士団長に呼ばれてそちらに意識が向いたのだった。
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「べティーナ。貴女、殿下をどうするつもりなの?」
赤いリップを引いた唇が不機嫌そうに歪む。後宮の主とも言われているハイデマリーは、その出身の家のこともあり、後宮の中では誰も逆らえなかった。
べティーナもハイデマリーがいきなり来ても追い払わずに中に入れていた。時々顔を合わせるハイデマリーをローデリヒは苦手としていたが、べティーナはそうでもないらしい。
「アロイスには危ないことをして欲しくないだけです」
カリカリと神経質そうに言うハイデマリーにべティーナはのんびりと返す。間に挟まっているローデリヒは、黙ったまま話の行方を見守っていた。