この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
あむ、と口を開けて苺のケーキを頬張る主君に、ハイデマリーはティーカップを持つ手を止めた。
「何故です?」
「以前に会った国王が丸い体型でかなり人の良さそうな雰囲気を持っていたのだ。だが、相当の切れ者でな。人は見た目が重要という。人の良さそうな見た目になれば相手の油断するのではないかと思ったのだ」
「はあ。……なるほど?」
ハイデマリーは首を傾げた。よく分からない。
「見た目が重要であれば、べティーナに嫌われるかもしれませんわよ?」
ディートヘルムは昔から美しいと言われてきた。
周りの意見をそのまま受け止めて、ハイデマリーはディートヘルムは美しいと認識していた程度だ。
ハイデマリーは美醜がよく分からない。ハイデマリーも将来王妃として育てられてきた人間だったからである。国王が美しくなくても、配偶者として隣に並び立つ為に。だから周りの意見を参考にするしかなかった。
いつも着飾っているのは、ハイデマリーが王妃として美しいと称される為であった。彼女自身は公務をこなせる頭脳と所作があればいい。美容に関しては侍女がいればよかった。
ハイデマリーの問い掛けに国王は顔を顰める。
「それは困るな……。いや、今も困っているのだが……」
「好きなのに疲れたって言ってましたわ」
「疲れた?」
二人して一瞬黙り込む。
「何故です?」
「以前に会った国王が丸い体型でかなり人の良さそうな雰囲気を持っていたのだ。だが、相当の切れ者でな。人は見た目が重要という。人の良さそうな見た目になれば相手の油断するのではないかと思ったのだ」
「はあ。……なるほど?」
ハイデマリーは首を傾げた。よく分からない。
「見た目が重要であれば、べティーナに嫌われるかもしれませんわよ?」
ディートヘルムは昔から美しいと言われてきた。
周りの意見をそのまま受け止めて、ハイデマリーはディートヘルムは美しいと認識していた程度だ。
ハイデマリーは美醜がよく分からない。ハイデマリーも将来王妃として育てられてきた人間だったからである。国王が美しくなくても、配偶者として隣に並び立つ為に。だから周りの意見を参考にするしかなかった。
いつも着飾っているのは、ハイデマリーが王妃として美しいと称される為であった。彼女自身は公務をこなせる頭脳と所作があればいい。美容に関しては侍女がいればよかった。
ハイデマリーの問い掛けに国王は顔を顰める。
「それは困るな……。いや、今も困っているのだが……」
「好きなのに疲れたって言ってましたわ」
「疲れた?」
二人して一瞬黙り込む。