この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
ハイデマリーが王妃という周囲に定められていた道から逸れようとしたきっかけだった。先代達が作ってきたシナリオ通りに生きる自分達には、同じくシナリオ通りにしか生きられない。そして、それを後世もずっと続けていく事しか出来ない。
やはり、合理的な選択が一番良いと思ってしまっているから。
べティーナが妊娠した時、ハイデマリーは後宮で生きることを決めた。これからのキルシュライト王家は良い方向へ変わると、そんな希望を持って。
その希望はべティーナの魔力が少なかった事によって、潰えることになったが。
妊娠出来たのはべティーナが貴族の血を引いており、平民よりは魔力を持っていたから。
胎児がまともに育たなかったのは、べティーナの貴族の血が薄まっていたから。
体を壊してしまったべティーナが王妃になるのは不可能だった。
「でも、分からなくてもどうにかしなければいけないのではないのです?
――だって、あの子、もうだいぶ体を悪くしているわ」
「……揉めているのは、ローデリヒの教育方針でだ」
「そうですね……。困りましたわ」
ディートヘルムはケーキの苺を投げやりにフォークで刺す。
やはり、合理的な選択が一番良いと思ってしまっているから。
べティーナが妊娠した時、ハイデマリーは後宮で生きることを決めた。これからのキルシュライト王家は良い方向へ変わると、そんな希望を持って。
その希望はべティーナの魔力が少なかった事によって、潰えることになったが。
妊娠出来たのはべティーナが貴族の血を引いており、平民よりは魔力を持っていたから。
胎児がまともに育たなかったのは、べティーナの貴族の血が薄まっていたから。
体を壊してしまったべティーナが王妃になるのは不可能だった。
「でも、分からなくてもどうにかしなければいけないのではないのです?
――だって、あの子、もうだいぶ体を悪くしているわ」
「……揉めているのは、ローデリヒの教育方針でだ」
「そうですね……。困りましたわ」
ディートヘルムはケーキの苺を投げやりにフォークで刺す。