この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「少しだけ、少しだけお会いするだけ、だから」
「申し訳ございません。本日はべティーナ様は調子が悪いのです」
同じようなやり取りをグルグルと繰り返す。頑なに拒否する侍女に苛ついた。埒が明かない。
熱が出た、調子が悪いと言うだけ。
流石にもう聞き分けよくなんて、出来なかった。
「……っあ!殿下?!」
侍女の隙をついて扉を開ける。子供一人分の隙間からまんまと入ったローデリヒは、べティーナの寝室の前に立った。
「母上。母上?……入ります」
ローデリヒの予想に反して、べティーナは寝台に横たわってはいなかった。寝台に腰を掛けて、頭を抱えている。髪は乱れていた。ゆっくりと顔を上げた母親に、ローデリヒは僅かに笑みを浮かべる。
「…………だれ?」
「……はは、うえ?」
「申し訳ございません。本日はべティーナ様は調子が悪いのです」
同じようなやり取りをグルグルと繰り返す。頑なに拒否する侍女に苛ついた。埒が明かない。
熱が出た、調子が悪いと言うだけ。
流石にもう聞き分けよくなんて、出来なかった。
「……っあ!殿下?!」
侍女の隙をついて扉を開ける。子供一人分の隙間からまんまと入ったローデリヒは、べティーナの寝室の前に立った。
「母上。母上?……入ります」
ローデリヒの予想に反して、べティーナは寝台に横たわってはいなかった。寝台に腰を掛けて、頭を抱えている。髪は乱れていた。ゆっくりと顔を上げた母親に、ローデリヒは僅かに笑みを浮かべる。
「…………だれ?」
「……はは、うえ?」