この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
国王の子供を産み、国王の子供を育てたのがべティーナの選択であれば、
彼女がおかしくなってしまっても構わないとまで思ってしまった思慕など無い方が良かったのではないか?
べティーナとローデリヒの八年間は何だった言うのか?
母が側室だから、平民だからと頑張ってきたローデリヒの努力は無駄だったのか?
「……っ、く」
堪えるように両手を握りしめる。熱いものが込み上げて、飲み込んだ。頬を熱いものが滑り落ちてくる。
ポタリ、と地面に雫が落ちて土の色が変わった。乱暴にジュストコールの袖で目元を拭う。
いつの間にか国王とハイデマリーはいなくなっていた。しかし、ローデリヒはその場で立ち尽くしたまま。
二人を追いかけて事の真相を聞く勇気なんて、
なかった。
彼女がおかしくなってしまっても構わないとまで思ってしまった思慕など無い方が良かったのではないか?
べティーナとローデリヒの八年間は何だった言うのか?
母が側室だから、平民だからと頑張ってきたローデリヒの努力は無駄だったのか?
「……っ、く」
堪えるように両手を握りしめる。熱いものが込み上げて、飲み込んだ。頬を熱いものが滑り落ちてくる。
ポタリ、と地面に雫が落ちて土の色が変わった。乱暴にジュストコールの袖で目元を拭う。
いつの間にか国王とハイデマリーはいなくなっていた。しかし、ローデリヒはその場で立ち尽くしたまま。
二人を追いかけて事の真相を聞く勇気なんて、
なかった。