この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
ヴァーレリーちゃんが離れていく。ローデリヒ様が私の方へ向いた。何故だか分からないけれど、顔を近付けてくる。
えっ、何?
――なんて、思っている間に、ローデリヒ様は私の耳元で囁いた。
「これから何があっても声を出すんじゃない。アーベルをしっかり抱いていてくれ」
「は――」
頷きかけて、思わず口を閉じる。その代わりに、アーベルをギュッと抱きしめて頷いた。
「アーベル、お前も大人しくしていてくれ」
物分りが良いのか、全く分かっていないのか、アーベルはローデリヒ様に対してニコニコと笑う。
護衛のほとんどが近衛騎士だから、道を間違えても仕方ないんじゃないか?外の仕事とか滅多に無さそうだし……国王様は王城に引きこもってるし……なんて、そんな雰囲気ではなかった。
ローデリヒ様の手のひらにクッキリと深い爪の跡が残っていたから。
ローデリヒ様がゆっくりと立ち上がって、馬車の外へ出る。扉の隙間からチラリと見えた外には、ヴァーレリーちゃんと彼女が乗っていたらしい馬が見えた。
えっ、何?
――なんて、思っている間に、ローデリヒ様は私の耳元で囁いた。
「これから何があっても声を出すんじゃない。アーベルをしっかり抱いていてくれ」
「は――」
頷きかけて、思わず口を閉じる。その代わりに、アーベルをギュッと抱きしめて頷いた。
「アーベル、お前も大人しくしていてくれ」
物分りが良いのか、全く分かっていないのか、アーベルはローデリヒ様に対してニコニコと笑う。
護衛のほとんどが近衛騎士だから、道を間違えても仕方ないんじゃないか?外の仕事とか滅多に無さそうだし……国王様は王城に引きこもってるし……なんて、そんな雰囲気ではなかった。
ローデリヒ様の手のひらにクッキリと深い爪の跡が残っていたから。
ローデリヒ様がゆっくりと立ち上がって、馬車の外へ出る。扉の隙間からチラリと見えた外には、ヴァーレリーちゃんと彼女が乗っていたらしい馬が見えた。